【パイロット学生必見】航空用ヘッドセットどれがいいか比較してみた

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どうもShionです。
パイロット訓練、こだわりのある機材を使っているとそれだけでモチベーションが高まりますよね。
今回は訓練のパフォーマンスを大きく左右し、おそらく最も高い買い物になる「ヘッドセット」について比較していこうと思います。

ヘッドセットってなに?

パイロットのドキュメンタリーや訓練生のYouTubeを観ている時に「パイロットは飛行中になんでゴッツいヘッドセットつけてるんだろう…」と疑問に思ったことはありませんか?

実はパイロットには操縦のほかに、管制官や他機と無線で連絡を取り合うことで進路を決定したり衝突を回避するという重要な仕事があります。

これに用いられるのがヘッドセットです。

パイロット用のヘッドセットにはエンジン音などの轟音の中で正確に情報を送受信できることや十数時間連続で使用しても疲れにくいことなど、操縦者の負担が最小限になるように設計されています。

ヘッドセットの例

Bose A20 Aviation Headset

このヘッドセットですが、実は音質や付け心地がメーカーによりかなり特徴があり、自分に合った機材を選ぶことでラジオの精度やフライトのパフォーマンスが劇的に改善します。

ぜひこの記事をヘッドセット選びの参考にしてより良い訓練ライフを送りましょう!

プラグはどれを選べばいい?

ヘッドセットを選ぶ最初の選択肢はプラグタイプです。
飛行機により様々なタイプのプラグが使用されており、飛行機側のプラグに合わせてヘッドセットを購入する必要があります。

なお、どのヘッドセットでも基本的にほぼ全てのプラグタイプで販売されています。

ヘッドセットによってはケーブルやコントロールユニットが別売りされている場合があるので、その場合はヘッドセットは変えずにケーブルのみ交換することも可能です。

*XLR-5やU-93Aに関しては訓練機への採用例が少ないため紹介していません。

Dualプラグ

Dualプラグの例

参考画像: Bose A30 Dual Cable

DualプラグはGeneral Aviation Twin Plugsとも呼ばれている訓練機で最も広く使用されているタイプの端子です。

Dualプラグの特徴はマイク用とスピーカー用のプラグがそれぞれ独立していることです。
それぞれ細いプラグがマイク用のPJ-068(3極)で太いプラグがスピーカー用のPJ-055(2極)となっております。

CessnaやBeechcraft, Piper, Cirrusなどほぼ全ての訓練機がDualプラグを採用しています。

Dualプラグには機体からパワーを供給される機能がないため、Bluetoothやアクティブノイズキャンセリング機能のあるヘッドセットでそれらの機能を使用する場合にあは電池や充電などが必要になります。
*ただし充電がない状態でもBluetoothやアクティブノイズキャンセリング機能を除くヘッドセットの機能は維持されます。

ただしDualケーブルから他のプラグへの変換ケーブルは販売されていないため、訓練開始前にヘッドセットを購入される場合は学校に機体のプラグタイプを確認されることをお勧めいたします。

U-174/Uプラグ

U-174/Uプラグの例

参考画像: Bose A30 U-174/U plug

U-174/Uプラグはヘリコプターで使用される場合の多いプラグタイプです。
音声とマイクの両方を1本のプラグで対応しており、こちらの端子からDualプラグへの変換ケーブルも販売されています。

6 Pinプラグ

6 Pinプラグの例

参考画像: Bose A20 6 pin LEMO plug

6 Pinプラグは一部のCirrus機や新しいタイプのBeechcraft機やマルチ機に採用されているプラグです。
音声とマイクの両方を1本のプラグで対応しておりさらに航空機側から給電される希望もあるため充電や電池の交換の必要はありません。
こちらの端子からDualプラグへの変換ケーブルも販売されています。

ノイズキャンセリングの種類

次の選択肢はノイズキャンセリングの種類です。
フライト訓練中はエンジンのすぐ近くに座り轟音と戦いながらのフライトとなるのでノイズキャンセリングの精度は非常に重要となります。

ノイズキャンセルには各メーカー様々な名称や特許がありますが、基本的には以下の2種類に大別することができるので、自分に最適なヘッドセットを見つける手がかりにしてください。

パッシブノイズキャンセリング(PNC)

PNCは物理的な方法で騒音を遮断する仕組みです。
ヘッドセットのイヤーカップに使われている密閉性の高い素材やクッションによって、外部からの音を遮断します。

メリットはとてもシンプルな構造なため壊れにくいことやANC搭載のヘッドセットに比べて非常に安価なことが挙げられます。

一般的にANC搭載のヘッドセットに比べ厚いパットや強いクランプ力を持つため長時間の使用では首や頭が痛くなるケースもあります。

アクティブノイズキャンセリング(ANC)

ANCは周囲の騒音をマイクで拾い、それと逆位相の音波を発生させて相殺するノイズキャンセリング方法です。

身近な例だとAir Pods ProやDASH 8-400がこの技術を使用しているのでワイヤレスイヤホンをお持ちの方は知っている方も多いかと思います。

メリットはPNCより遮音性に優れ非常に明瞭に音が聞き取れることですが、一方でPNCのみのヘッドセットに比べて高価で電力供給が必要なことが欠点です。

電源供給がストップするとANCの機能は使えなくなりますが、引き続き通信には問題なく使うことができます。(ただし騒音が増えます)

ANCを搭載しているヘッドセットでもPNC機能の優れているヘッドセットがあり、このようなモデルを選ぶと電池切れの際にも引き続き安心してフライトすることができます。

有名メーカーの比較

ここからは各メーカーのヘッドセットを比較していこうと思います。
レビューは筆者が実際のフライトで使ってみた独断と偏見を含む感想ですので何らかの指標に沿ったものではないことをご理解ください。

TELEXなどこちらに記載していないメーカーもありますので、こちらの記事はあくまでも一例であるということを予めご了承ください。

機会があれば実際に試着や試聴をした上での購入を推奨いたします。

ANC非搭載機種

ASA HS-1A

ASAはパイロットグッズを販売している会社として有名で、ニーボードを購入した方も多いのではないでしょうか。

HS-1Aは必要最低限の機能を備えていて生涯保証もついているのにとても安いというヘッドセットです。

フライトスクールではレンタル機材として運用している場所もあるので訓練初期に使った人も多いかと思います。

音質や装着感は良くも悪くも値段相応という印象ですので、バックアップ機材としてやヘッドセット選び中の中継ぎとしての購入がおすすめです。

David Clark H10-13.4

H10シリーズはDavit Clarkらしい堅牢でクラシックなヘッドセットで壊れない安心感やミリタリー感が欲しい方にぴったりの機種になっています。

堅牢性や信頼性に関しては折り紙付きのベストセラーヘッドセットですがクランプ力が強く重量もあるので長時間の使用には忍耐力が必要です。

乾いた印象の音質なのでBOSE等からこの機種に乗り換える場合はラジオの聞き取りに苦戦するかもしれませんが最初からこれで訓練する場合は全く問題なく使用できると思います。

長い間世界中から愛されているヘッドセットなのでイヤーパッドなどの消耗品はサードパーティ製品が豊富にあるため維持費が安いことも魅力の一つです。

ANC搭載モデルも後半で紹介しているので是非ご覧ください。

Faro G2 PNR Headset

Faroは1999年に創業した比較的新興メーカーながらコストパフォーマンスの良い航空用品を提供する理念を掲げて素晴らしいヘッドセットを出している企業です。

G2 PNRはFaroの理念が詰まった製品でASAと並ぶ低価格ながらDavid ClarkのH10シリーズのクランプ力を少し抑えたような装着感で音質もクセが少なく比較的軽量という、コスパに関しては文句のないヘッドセットです。

ただしBOSEやLIGHTSPEEDと比較するとクランプ力や重量があるので長時間の使用は多少疲労が溜まるかもしれません。

3年間のメーカー保証もあるのでバックアップ機材としてだけではなく十分に訓練にも使えるクオリティのヘッドセットです。

ANC搭載機種

BOSE A30

BOSE A30はBOSEの航空用ヘッドセットの現行モデルで精度の高いANCと航空用ヘッドセットとは思えない快適性を持つ機種です。

旧型のA20と比較して20%の軽量化とクランプ力の大幅な減少が実現されており長距離フライトでも快適に過ごすことができます。

一方でPNC機能が比較的弱いため電池残量を十分確認し、予備の電池を何個かフライトに持っていくと安心です。

BOSE A20

BOSE A20は2023年まで売られていたA30の1つ前のモデルです。

A30とも遜色ないANC機能に加えPNC機能も非常に優れているため電池切れの際も安心してフライトすることができます。

A30のまるで普段使い用のヘッドフォンのような快適性には劣りますが、それでも安心感と快適性のある付け心地でコアなファンも多いモデルです。

ただし旧モデルのため未使用品の入手はやや困難です。

LIGHTSPEED Zulu 3

LIGHTSPEED Zulu 3はBOSEより一回り安い価格で十分なANC機能を搭載しているヘッドセットです。

音質や装着感にクセがなく非常に扱いやすいヘッドセットの一つで、個人的にはサングラスを装着した状態の装着感ではA30を超えていると思います。

ComPriorityという特許技術や7年間の保証、高周波音に対するPNC機能などBOSE現行機種のA30と比較しても優れてる点がある優秀なヘッドセットと言えるでしょう。

BOSEやDavid Clarkと比較してややマイナーなヘッドセットなので周りと被らないヘッドセットが欲しいという方におすすめのモデルです。

David Clark H10-13X ANR

H10-13X ANRはDavit ClarkのANC機能を搭載したヘッドセットで非常にファンが多いモデルでもあります。

Davit Clarkらしい堅牢でクラシックなヘッドセットにANC機能が付いたモデルで壊れない安心感やミリタリー感が欲しい方にぴったりの機種になっています。

ANC搭載モデルとしては比較的安価ですがクランプ力が強く重量もあるので長時間の使用には忍耐力が必要です。

ステレオのみに対応しており乾いた印象の音質なのでBOSE等からこの機種に乗り換える場合はラジオの聞き取りに苦戦するかもしれません。

個人的にはA20をも超えるPNC機能で安心感があり大好きなモデルですがイヤーパットが固く、汗をかいた時にやや不快感があるのが気になります。

Faro G2 ANR Headset (Active)

Faro G2 ANR HeadsetはANCを搭載しているヘッドセットの中では非常に高いコストパフォーマンスを誇るモデルです。

装着感はDavid ClarkのH10シリーズをクランプ力を少し抑えたようなイメージで音質もクセが少なく比較的軽量、価格にしては非常に優秀なヘッドセットという印象です。

ただしBOSEやLIGHTSPEEDと比較するとクランプ力や重量があるので長時間の使用は疲労が溜まるかもしれません。

3年間のメーカー保証もあり訓練用途として安心して使えるヘッドセットです。

筆者のおすすめ

私のおすすめするヘッドセットはBOSE A20です。
BOSE A20は型落ちながら現在でも非常に多くのパイロットに支持されているヘッドセットで、フライトスクールで使っている人も多く見かけるベストセラー機材です。

BOSE A20の魅力はなんといってもそのデザインと優れたPNC性能です。
A20はBOSEのヘッドセットらしくANC機能にも非常に優れますが、A30や他のヘッドセットと比較してANCを切った状態の物理的な遮音性も素晴らしく、電池切れを気にすることなくフライトに持っていけます。

筆者は教官たちと交換して様々なヘッドセットを試したことがありますが、ANC機能を持つヘッドセットはノイズキャンセルを切った時の騒音がかなりあることと比較して、A20はノイズキャンセルを切った状態でも他のPNC型ヘッドセットと全く遜色ない遮音性が特徴です。

私はノイズキャンセリングを通したエンジン音が苦手(不調に気付きにくいから)なのでよくANC機能を切った状態でフライトをしていましたが、ANC搭載機種特有の装着感の良さと遮音性が両立しており、ノイズキャンセルを使わない状態でも快適に長時間フライトができました。

かなり高い買い物でしたがこれからも末長く使っていきたい相棒です。

また、もし追加で2台目のヘッドセットが必要になるようならFaro G2のPNRモデルを買おうかと思います。

皆さんもぜひこの記事を参考に最適なヘッドセットを探してみてください。

参考文献

Aviation headset adapters, airplane headphone adapters | mypilotstore.com. (n.d.). https://www.mypilotstore.com/mypilotstore/secp/120

Admin. (2024, March 20). De HavilLAND Canada DASH 8-400 Turboprop becomes first regional aircraft recertified to meet ICAO’s most stringent noise standards. De Havilland Canada. https://dehavilland.com/aftermarket-support/de-havilland-canada-dash-8-400-turboprop-becomes-first-regional-aircraft-recertified-to-meet-icaos-most-stringent-noise-standards/#:~:text=%E2%80%9CWe%20have%20proactively%20recertified%20to,ground%20and%20in%20the%20sky.&text=De%20Havilland%20Canada%20is%20a,Havilland%20Aircraft%20of%20Canada%20Limited.

A20 Aviation Headset for pilots | Bose. (n.d.). https://www.bose.com/p/a20-aviation-headset/A20-HEADSETAVIA.html?srsltid=AfmBOopguLy5LCVDHfS9uYJd-uRjgPxgnw_oAlXUnD1GVzzDTsy-2sPP

A30 Aviation Headset – Bluetooth Aviation Headset | Bose. (n.d.). https://www.bose.com/p/aviation-headsets/bose-a30-aviation-headset/A30-HEADSETAVIA.html

Lightspeed Aviation. Zulu 3 ANR – Lightspeed Aviation. https://www.lightspeedaviation.com/product/zulu-3-anr-headset/?srsltid=AfmBOoocH6jzwGeIqeaQ-zPeeRJAyXg7Ia4PNZthPhViZxMUyDuaV4jn

ASA. (n.d.). AirClassics® headset. ASA. https://asa2fly.com/airclassics-headset/

Passive Fixed Wing Headsets | David Clark Company | Worcester, MA. (n.d.). https://www.davidclarkcompany.com/aviation/fixed-wing-passive.php

ENC Fixed Wing Headsets | David Clark Company | Worcester, MA. (n.d.). https://www.davidclarkcompany.com/aviation/fixed-wing-enc.php

G2 PNR Headset (Passive) – Faro Aviation. (2018, February 24). https://www.faroaviation.com/product/faro-aviation-g2-pilot-headset/

G2 ANR Headset (Active) – Faro Aviation. (2018, January 9). https://www.faroaviation.com/product/faro-aviation-g2-anr-pilot-headset/


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