こんにちはShionです。
今回は意外とやることが多くて慣れるまではなかなか時間のかかるNavLogの書き方を前編と後編にかけて解説します。
NavLogの書き方シリーズのお品書き
- 前編: NavLogの基本情報と事前準備編
- 後編: 当日記入するもの編
訓練中の方はもちろん、パイロット留学を計画している方の事前学習としても活用ください!
それではこの記事では後編の「当日記入するもの」について説明します。
前編の内容がまだお済みで無い方はこちらをご覧ください
各セクションの紹介
それでは各セクションの紹介に移ります。
フォーマットには様々ありますが、NavLogは基本的に以下の情報で構成されています。
- From: Map, CFS
- To: Map, CFS
- Altimeter: MEATR
- Temperature: Upper Winds and Temperature Forecast (FDs)
- Alt: Choose an appropriate altitude by Pilot
- P Alt: E6B
- TAS: POH
- CAS: E6B
- IAS: POH, Airspeed Indicator
- True Track: Map
- Wind Velocity: Upper Winds and Temperature Forecast (FDs)
- True Heading(TH): E6B
- Var: Map or CFS
- Magnetic Heading: Compass Card of Aircraft
- Ground Speed(G/S): E6B
- Distance: Map
- Fuel Consumption: POH
- Time: E6B
- Fuel: E6B or Calculator
*使用するフォーマットにより多少差異があります。
*太字表記は天候に関係するため当日埋める必要がある情報
急にたくさん出てきて訳わかんないという方、安心してください次項でそれぞれ説明します。
ここで頻出するMapやPOH, E6Bですがインターネット上で無料で利用できるリソースがあるので、もしまだ持っていないという方はこちらを利用してください。
- Map (パイロットが用いる航空図のこと)
- POH (Pilot Operation Handbookの略で機体ごとの性能などが記されている)
- E6B (パイロットが用いるフライトコンピューターでデジタルのCX3も有名)
*当記事では1976年式のC172M型のPOHを使用しています。
*記載しているページ数は上記に添付している資料に基づいています。
前編のおさらい
前編では天候に関わらず事前に埋めることのできる情報を全て記入しました。
したがってこの記事では当日に天気の情報が確定次第書き込む箇所の解説になります。
フライトテストでは最新の情報を試験官に提示するために限られた準備時間でNavLogを書き上げる必要があります。
そのため筆者はNavLogを短い時間で書き上げる練習を大量にこなして最終的にはWeight&BalanceとFlight Plan, Takeoff and Landing Distanceを全て合わせて15分で仕上げることができるようになりました。
これらの書類を正確に早く書けるようになることでテスト本番で余裕と自信を持って臨むことができるので、この記事の計算は慣れるまで何度も練習しましょう。

数字の求め方
Temp / Wind
このセクションでは、進路に影響する気温と風についてNavLogに記入していきます。
カナダでは気象情報集めにこのサイトを使います。
NOTAMやMETERなどの読み方に関しては別で記事を上げるので今回は説明を省き記事作成時の気象条件を記載させていただきます。
ちなみにWindysというアプリでも空港情報や気象情報を確認することができます。
モード切り替えで気象情報を読みやすい文体にもしてくれるため非常におすすめのアプリです。
それでは気象情報を入力した後のNavLogはこちらになります。

Wind Correction / Ground Speed
それでは次に入力するのはWCAとG/Sです。
ここから本格的にE6Bを使っていくNavLogの鬼門と言っていいでしょう。
WCAとは風の向きと強さにより実際に進む方角(Heading)が機首の方角(Track)とどの程度ズレるかという指標になります。
G/Sについては前編で歩く歩道の例を使って紹介した飛行機の空気中を進む速度(TAS)に風の影響(追い風か向かい風か)を考慮して地上から見たスピード(G/S)を計算するものです。

風の進路と速度の影響
WCAは風の垂直方向成分(オレンジ)が何度針路に影響するか、
G/Sは風の鉛直方向成分(緑)が何ノットTASに影響するかの数字です。
これら2つは同時に計算されるものなので一気に解説していきます。
WCAとG/Sを求めるのに必要なもの
- E6B
- MT: Magnetic Track
- Wind
それではNavLogの1行目のWCAとG/Sを計算していきます
手元にE6Bをお持ちではない方はこちらを使用してください。

Step. 1
このセクションで使用するのはE6Bの裏面です。
True Indexに風の向き(今回は120)を合わせてください。
またStep. 2のためにあらかじめ円の中心をキリの良い数字に合わせてください。

Step. 2
次に風の強さ(今回は8)を入力していきます。
縦方向の強さが入力できれば中心はどこでも構いません。
実際のE6Bでは鉛筆や水彩マーカーなど消しやすいものでマーキングしてください。

Step. 3
Step. 3ではTrue IndexをTrue Track(今回は077)に合わせていきます。
ちなみにここでTrue Trackが使われるのは天候の情報の方角が真方角だからです。

Step. 4
最後にStep. 2のマーキングをTAS(今回は101)に合わせてください。
*中心ではなくマーキング
ここでマーキングがある横方向のメモリがWCA(今回は3), 円の中心が重なっている縦軸がG/S(今回は95)を示しています。
以上の計算で今回のNavLogの1行目のWCAは3、G/Sは95と算出できました。
計算結果を見るだけで風は右側から、TASよりG/Sが遅くなっているため向かい風とわかります。(実際にTTが077°に対して風が120°から吹いています)

風とTT, THの関係
- TT: 実際に行きたい方角
- TH: TTに行くための機首の方角
- WCA: 風に影響される角度
図示しているものは全て真方位
それでは2行目と3行目に関してはE6Bで自力で計算してみてください。
正解は次項のNavLogで記載します。
MH(Magnetic Heading) / CH(Compass Heading)
前編の復習にはなりますがNavLogの方角は地図上のTTに
・磁北と真北の差(Var)
・風の影響(WCA)
・機体ごとの計器の個体差(Deviation)
の3点を考慮して機内の計器表記で目指すべきCHに直すことを目的にしています。
それではまず先ほど求めたWCAを使いMTをMHに直していきます。
WCAは東と西でプラスするかマイナスするかさえ間違えなければ難しいことはありません。

次に機体ごとの計器の個体差をCompass Cardから計算します。

Compass Cardの例
Compass Cardは計器のズレを示す紙で機体ごとのMagnetic Compassに付いています。
ForがMHでSteerがCHと考えると簡単に理解できます。
なお上記にない角度(15°や65°など)はinterpolation(大体こんぐらいだろうという予測)をした値を使います。
例示したCompass Cardを使用するとDeviationとCHはそれぞれ以下の通りになります。

上昇するセクションの計算
今度は上昇するセクション(今回の例だと1行目)のDist, Time, FuelをPOHから探していきます。
自転車で坂道を上るときは平地に比べて疲れるように飛行機は上昇する時に多く燃料と時間がかかります。
前編でDistを3つに分割してもらったのは以下のように同じLeg内で上昇と巡航が分かれていることにより機体のパフォーマンスが異なるからです。

上昇を含むLegについて
AはPOHから求めます。
Bは通常の巡航時と同じように計算しCはAとBの和となります。
それではPOHから目的の高度(今回は2300ft)までの上昇にかかる距離、時間、燃料を探していきます。
上昇時のパフォーマンスはPOHに記載されています。

Cessna 172Mの例
Climb中のパフォーマンスはPerformanceセクション(5-15)に記載されています。
2300ftはないので隣の2000ftと3000ftの値でinterpolationする必要があります。
数字に迷った際は安全サイドを選ぶために大きい方を記入してください。
それではこちらの情報をNavLogに記載するとこのようになります。

Time
次に先ほどのG/Sを使ってLegごとにかかる時間を計算していきます。
って言っても距離/速度=時間をするだけなので小学生でも理解できる内容です。
ただしnm(ノーティカルマイル)やらkts(ノット)やら単位が難しいのでE6Bを使っていきます。

Step. 1
今回はE6Bの表側を使用していきます。
最初に三角形の目盛をG/S(今回は95)に合わせてください。

Step. 2
Step. 2はE6Bを動かす必要はありません。
今回のNavLogの1行目は7nm巡航しているためアウタースケールの7(赤矢印)を見ます。
ここでインナースケールは4.4(青矢印)を指し示しており、これが95ktsで7nmを進んだ時にかかる時間(min)になります。
矢印がG/S、外側が距離で内側が時間と覚えれば空中でG/Sを求めることも簡単にできます。
E6Bは使えば使うだけ慣れていくものなので何度も練習して覚えましょう。
それでは算出した数字をNavLogに記載したものはこちらになります。

Fuel
さてやっとNavLogの終わりが見えてきました。
最後にFuelの計算ですが、こちらはE6Bを使うまでもありません。
前編でPOHから求めたConsumption(巡航時の燃費)はGPH(gal/h)、先程求めた時間の単位は分(min)なので単位をminからhourに直してからGPHを掛けることで求めることができます。
計算式 (1行目の例)
7minを時間に直す
4.4/60≈0.073
1時間あたりの燃費を掛ける
0.073*6.7≈0.49
巡航時の使う燃料はこのようにして求めることができます。
算出した数字を記入したNavLogはこちらになります。

合計
それでは最後に出発地から目的地までかかる距離、時間、燃料を合計していきます。
しかし今回求めた燃料だけを積んでフライトをすることはできません。
Taxing(地上走行)やTake off、Reserve(予備)に使う燃料も積む必要があるのでその数字を決めていきます。
まずTaxingなどに必要な燃料に関してはPOHに書いてあります。

Cessna 172Mの例
Climb Performance(5-15)セクションに “1.1 gal of fuel for engine start, taxi and takeoff allowance” と記載されています。
これはエンジン始動、地上走行、離陸に1.1ガロンの燃料を計上してくださいという意味です。
Cessna 172Mのフライト中以外に必要な燃料は1.1 galと分かったのでこれをNavLogに記載していきます。

次にReserveの燃料搭載量を決めていきます。
こちらに関しては法律上の規定(Day Flight-30min, Night Flight-45min)に加えて学校でルールを定められている場合が多いので、学校ごとのルールに従ってください。
今回は法律に則って30分を巡航できる燃料を搭載していこうと思います。
燃費は変わらず6.7GPHなので30分間で消費する燃料は3.35ガロン(3.4と記載)となります。

それでは最後にこれまで求めてきた距離、時間、燃料の合計を求めましょう。
これは縦に足していくだけなのでとても簡単です。
記入後のNavLogはこちらになります。

これにて基本的なNavLogの書き方の説明は以上になります。
長い文章でしたがお付き合いいただきありがとうございました。
ちなみに今回使用しているAEROLINKのNavLogはSlackコミュニティ参加者に無料で配布しています。
この機会に是非AEROLINKのコミュニティへの参加をご検討ください。
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- 豊富な経験を持つ教官が多数在籍
- 日米加に加えヨーロッパの訓練生も
- パイロット同士の交流や留学前の情報集めに

参考資料
Canada, T. (2016, June 2). VFR Navigation Progress Test Guide — Aeroplane – TP 13779. Transport Canada. https://tc.canada.ca/en/aviation/publications/vfr-navigation-progress-test-guide-aeroplane-tp-13779
Cessna. (1976). Cessna Skyhawk Pilot Operation Handbook. https://www.cpaviation.com/images/downloads/Cessna%20172M.pdf

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